
幽霊屋敷の首吊り少女
灯油
まるちゃん
幽霊 屋敷 の首吊 り少女
灯油
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1
或る夏、影を伸ばすような夕暮れ
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2
カラスが鳥居の上で聞いた噂
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3
耳打つ子供の声 夏祭り、揺ラリ。
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4
裏山の小道、トンネルの向こうに
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5
ポツリと古び眠る屋敷があって
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6
首吊った少女の霊が夜な夜な出るそうだ
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7
好奇心で立ち入る人達
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8
「言っただろ、出るはずない」と
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9
軋む階段 揺れる懐中電灯
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10
誰も気付いてはくれないや
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11
「私、死んでなんかない。」って 暗がりに浸かって
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12
そっと強がって澄ましても 過ごした日々と共に
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13
止まった針は埃被って また声枯らして今日が終わって
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14
明日が窓に映り込んでも 私は此処にいます。
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15
季節を束ねた虫の聲 夕立
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16
流れた灯篭 神様の悪戯のよう
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17
迷い込んできた灰色猫
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18
「あなたも私が見えないの?」
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19
背を撫でようとした右手は虚しく
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20
するり抜け、空を掻いた
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21
「私、死んでいたのかな」って
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22
膝を抱えて 過去の糸を手繰っても
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23
些細な辛いことや家族の顔も思い出せなくて
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24
遠くで灯りだす家並みの明りや
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25
咲いた打ち上げ花火を 眺め、今を誤魔化す
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26
夏の終わり 過ぎ去った
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27
子供たちの噂も薄れ
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28
漂っては薫る線香の煙と一緒に
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29
姿は透け、やがて消えゆく
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30
私はただの一夏の噂だった 六月始めに生まれ
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31
八月終わりに遠退いた 意識は影法師になった
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32
誰も見つけてはくれなかったけれど
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33
記憶の片隅にある、かつての淡い日々の
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34
一部となって残り続ける もう切らした向日葵の歌
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35
蝉しぐれも亡き 夏の匂いだけ残る屋敷に
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36
少女はもういないだろう
