
スピードと摩擦
amazarashi
松岡結城
スピード と摩擦
amazarashi
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1
切れかけた街灯に照らされて 明滅繰り返す人々の影
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2
ゴムの匂いと空気の湿り気 静寂と呼ぶには、はなはだ多弁
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3
したがって 定まらぬ視点 星を滑って 東北に流転
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4
蛾が群がって どうせ無駄だって 夢に焼け落ちて あとは何もねえ
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5
行き先のない乗車券 此岸の終わりの夕景
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6
地球の裏の荒野へ 早く連れてってくれ
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7
夏の庭に犬の骨 死屍累々の日付
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8
それを踏んづけて明日へ 気管支炎の音符で
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9
血を吐くまでは歌え 放射状 北の山背
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10
そこに咲いた花でさえ 冒涜は許されて
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11
僕は舌打ちをしたこの街へ いや、舌打ちしたのは街の方で
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12
砂場に子供らの神話体系 その一粒ごと神は宿って
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13
絡まって 切れぬ社会性 みだりに越えて 唾を吐き掛け
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14
我が塞がって 来世疑って 無様に燃えて あとは何もねえ
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15
獣と人の分岐点 命にたかる銀蠅
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16
精子は霊地の巡礼 死ぬには早い降雪
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17
国道沿いのラブホテル トワイライト純潔で
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18
言葉足らずの夜明け 吃音的な世の果て
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19
それを飲み込んでは咽せる 結露に滴るカーテン
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20
命が今焼け落ちて 車道に冬の銀河系
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21
トラックの荷台に跨がって 歳月が通り過ぎた
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22
交差点で横転して 血を流していた
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23
窓越しにそれを見ていたら 命がじりじりと焦げる音を聞いた
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24
スピードと摩擦 火花を散らして
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25
スピードと摩擦 内蔵を焦がして
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26
体内に発車の汽笛 血液は逃避の路線
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27
旅立っては近づいて 離れてくのはどうして?
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28
苛立ちは尚叫んで ひび割れた今日の風景
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29
地表にうがつささくれ 二月は無垢な難破船
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30
スピードと摩擦 内蔵を焦がして
